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現病歴の問診を行なっていると、過去の足関節捻挫について質問されることはよくあると思います。実際に評価をしてみると左右で安定性に違いがあったり、アライメントが異なったりすることがあると思います。

しかし、ここでただの評価で終わらせるのではなく、この評価結果をどう解釈するかがリハビリにとって重要なことです。皆さんが普段臨床で行っている“評価”は、一体どういったものでしょうか?

整形外科領域においては、『整形外科テスト』と呼ばれる各部位、各疾患に特異的な評価方法が存在します。当然、評価方法として整形外科テストを用いることは重要ですが、皆さんは普段、この整形外科テストの結果をどのように解釈していますか?

そこで今回は、足関節・足部疾患をピックアップして整形外科テストの方法とその解釈について説明したいと思います。

足関節・足部疾患の評価についての深堀り解説!

①足関節安定化機構の評価

足関節に限ったことではないですが、効果的かつ効率的な治療の達成には、多角的な視点と適切な評価が必要となります。足関節では、損傷組織によって症状は異なり、関節の構造的な不安定性の程度も変化します。

それでは、『関節が安定している状態』とはどのような状態を指すのでしょうか?

これには『静的安定機構』と『動的安定機構』を分けて考える必要があります。

靭帯や関節包などの静的安定機構の損傷が認められれば、関節には“構造的な不安定性”が生じます。一方、静的安定機構の損傷が軽度もしくは認められなければ、構造的な不安定性は呈さないため、動的な安定機構である筋・腱の機能評価、治療に着手しなければなりません。

従って、足関節の靭帯を詳細に評価することは、静的安定機構である構造的不安定性を評価することと同義なのです。

 

②外側側副靭帯の評価と解釈

足関節障害で最もポピュラーな障害として、『内反捻挫』が挙げられると思います。距腿関節は背屈位では強力に安定しているため、ほとんどの内反捻挫は底屈と内返しの強制で発生します。その際に主に損傷を受けるのが、外側側副靭帯です。

先述した通り、外側側副靭帯の損傷は底屈、内返しの強制で発生するため、解剖上最初に損傷する足関節の靭帯は、前距腓靭帯ということになります。

また、前距腓靭帯の他に損傷を受けやすい靭帯としては、踵腓靭帯が挙げられます。ここで重要となるのが、内反捻挫をした際に、損傷したとされる靭帯は『前距腓靭帯だけ』なのか、もしくは『踵腓靭帯の損傷も合併』しているかということです。

外側側副靭帯損傷を診るための整形外科テストとしては、前方引き出しテストがあります。
このテストは前距腓靭帯の損傷を評価するテストです。

具体的なテストの方法としては、症例の足関節を軽度底屈位として、他方の手で患者の下腿遠位部を把持します。もう一方の手で踵部を把持し、足部全体を前方に向かって引き出します。前距腓靭帯に損傷が認められると、足部全体が前方へズレてしまうような不安定性を感じることができます。

また、外側側副靭帯損傷を評価するもう1つの整形外科テストとして、内返しテストがあります。このテストは先ほどの前方引き出しテストとは異なり、前距腓靭帯と踵腓靭帯の損傷を評価するテストです。

具体的な操作方法としては、足関節を底屈位として、他方の手で患者の足部を内反方向へと強制します。

この2つを使い分けることで、損傷している靭帯が前距腓靭帯だけなのか、もしくは踵腓靭帯の損傷を合併しているのかを鑑別することができます。これら靭帯を細かに評価することで、曖昧になりがちな足関節の『不安定性』をより具体的に評価することができます。また、これによりアプローチしなければならない組織や、力学的負荷が明確になってくると思います。

以上のことから、整形外科テストを有効に活用することで、その先の治療がより効率的かつ効果的なものになると思います。

今回は、林先生が執筆された「運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈〜下肢編〜」の一部を紹介しました。
書籍の中には、足関節のみならず、他関節における整形外科テストが多く紹介されており、解釈の仕方まで解説されております。詳しく学びたい方は是非、ご覧になってください。

参考図書

運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編

監修:林 典雄

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